STILL LIFE / 一之瀬ちひろ

STILL LIFE / 一之瀬ちひろ

販売価格: 3,780円(税込)

21.6cm x 15.4cm 144P
再入荷しました。

注目の写真家、一之瀬ちひろによる写真集。

彼女が約11年間に亘り撮り続けてきた、東京、ロンドン、バーゼル、アムステルダム、ウィーン、バンクーバー、ニューヨーク、陸前高田などの日常、そこで出会った人々の部屋、生暖かく、拭えない人の営みの痕跡。

強く声を荒げるのではなく、ささやくように、その一瞬をそっと留めた、「まなざす」行為が収録された写真集。

自身とデザイナー小熊千佳子とのブックレーベル「PRELIBRI」からのリリース。


(以下、ステイトメント)
「日常をまなざす」こと

なぜ些細な日常の、誰の注意もひかないような光景を、私は撮りためるのだろう。10年ほど続けてきた部屋を撮るという制作をひとつのかたちにまとめたいと考えはじめたとき、私は私自身の「日常」についてもう一度よく考えることにしました。そうして、今、このような想いでいます。

“私は現在、日本に住んで日常生活を送っている。
毎日色々なことがおこる。些細な出来事や突発的なアクシデント。
仕事に追われたり、こどもが熱を出したり、庭の花が咲いたり。
この私の日常も、否応無しに社会からの影響も受けている。
社会の変容にざわついている。
私の日常は、見えないくらい薄く透きとおる布でつつまれるように、この社会におおわれている。”

日常の光景の奥には、色々な物語があります。写真という媒体は、その光景の奥にある物語の詳細を克明に解説することができません。そこに写真の弱さを感じます。だけど写真が持つその弱さを、私は好きなんだと思います。いつも身近にありすぎて語りがたいことや、これまでの自分の経験だけでは語る言葉が見つからないくらい大きなこと、大きすぎて理解や把握ができないこと、些細な日常も、唐突な人の死も、語る言葉が見つからない出来事はたくさんあって、語られない出来事は記憶から少しづつ離れていくんだろうなと思います。

そういう毎日を、説得とか腕力とかではなく、何か別の方法をつかって、非力な何かに置き換えていくことを私は試したいのだと思います。写真を使って日常をまなざすことで。

写真集のタイトル『STILL LIFE』は「静物画」という意味です。静物画は17世紀のオランダで始まりました。17世紀以前のヨーロッパで絵画と言えば宗教画か王侯貴族の歴史にまつわるものでしたが、オランダの画家たちははじめて日常の生活風景をまなざす、という新たな視点を発見しました。「日常をまなざす」ことは今の私たちにとっては当たり前のことのようだけど、ある時代では発見しなければ得られないものだった、ということに気づかされます。

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