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自然史 / 露口啓二
商品詳細
1990年代末より、北海道の風景と歴史に着目した写真の発表を続ける写真家、露口啓二による写真集。
石狩川水系千歳川の支流であり、かつては、アイヌ文化形成の重要な経済的基盤でもあった「漁川上流域」。日高山西部の流域にダムが建設されたことで出現した湖によって、先住民族アイヌの生活や儀式の場などが水没した二風谷や荷負などの「沙流川地域」。石炭産業を中心に北海道の諸地域に形成された、夕張、三笠などの「空知炭鉱地帯」。東日本大震災の被災地である陸前高田、気仙沼、女川、石巻、南相馬にわたる「長大な太平洋沿岸」と、福島第一原子力発電所の事故により放射性物質が飛散し堆積した「帰宅困難区域の内側」「境界線」「外側」。そして古来より自然と庶民の格闘の場であり、忌部と呼ばれる集団にかかわるとされている文化が成立していた徳島の「吉野川流域」。
古来、近代文化の盛衰を、その史にではなく、その痕跡に繁茂し史を覆う自然に、露口啓二は、静かに見る。
かつて大量に鮭が遡上し、アイヌと和人に共有されていたとも思われる漁川流域の狩猟儀礼の場シラッチセや、石炭産業の衰退後、坑道を地中に残したまま地上に放置されたボタ山、生活の場。原子力発電所の事故により居住が認められなくなった場。多様な事態が起こり、そして変容していくそれらの場所が「自然」に浸透されてゆく諸様態、諸様相は、私たちの目にはどう映り、写真にはどう写るのか。
作家が現在も活動する道内(近代化の資源ための開拓によってなされた地)のアイヌの森と水から始まり、東日本大震災の記憶を経て、出生の地である徳島の吉野川流域までにいたる様々な場所で撮影された写真群の併置により、空間の差異と同質性、あるいは等価性、そしてそこに潜む不可視性など、「自然史」と言うべき壮大なうつろいの気配の顕現を試みる一冊。
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