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windows / 奥山由之
商品詳細
第34回写真新世紀優秀賞受賞し、数多くのクライアントワークも手掛けるなど、デビューして間もなく、一躍日本のトップ・フォトグラファーとして注目を集めている写真家、奥山由之による写真集。
窓を通して人々を描く、"東京"のポートレート
本作『windows』は、2020年4月から2022年11月までの2年半にわたり、東京都内で、約10万枚の不透明なガラス窓を撮影したシリーズ。奥山が初めてデジタルカメラを用いて撮影したこれらの写真群から、本書は724 点を収載。
コロナ禍にあったこの時期、海外に赴くことの少なくなった奥山は東京の街を歩きながら、窓の表情に目を留めました。路面に面した窓の多くは、すりガラスや型板ガラスなどの不透明なガラスで、屋内にあるさまざまな日用品が透けて見えます。キッチンや浴室の水まわり、フィギュア、花、洗濯物、貼り紙、傘、神棚、自転車......窓枠に沿ってトリミングされた内部の空間は抽象的な模様となり、外部の影や映り込みも宿しながら、そこに暮らす誰かの存在を想像させます。それは一枚一枚の窓が、東京の人々の肖像画となる瞬間でした。 カメラのファインダーという窓から窓を覗いたとき、外と内との隔たりと思えたものがスクリーンとなり、その平面は新たな奥行きをもち得たのです。
奥山は前作『flowers』(2021年、赤々舎)において、花を媒介にした亡き祖母との対話を描き出し、そこでは内から外への窓越しの眼差しが、あるひとりと向き合うことに重なっていました。本作『windows』では、外から内への眼差しによって見知らぬ誰かと対話し、その個々にして不特定多数の肖像は、自ずと足もとの社会を映し出すでしょう。
それぞれ異なるものが密集して建てられている東京の、常に流動的で過剰に生成される街の姿。不透明なガラス窓は、そこで暮らす人どうしの間合いを反映し、歴史的には、閉じつつも外光を透かす障子を起源とするのではないかと奥山は考えます。窓をめぐって建築や文化へも接続する『windows』は、時代の貴重な記録でもあります。 東京の街を丹念に歩きながら撮る奥山の足取りに、20 世紀前後のパリを撮影したウジェーヌ・アジェも思い浮かぶかもしれません。標本的にではなく、光や距離によって具象と抽象 のあいだを揺らぎ、立ち上がるイメージと生々しさが同居する『windows』。奥山作品の重要な転換点であるとともに、いまを、そして人々を写しとる独自の在り方は深い示唆を投げかけます。
―――
"入り組んだ文化のレイヤーを持ち、建物がひしめき合う東京において、ある種のシンボルとも言える不透明な窓に、私は人々の表情を見た。
窓を見つめることは、見知らぬ誰かと見つめ合うことに等しいと感じた。
この静かな視線の行き交いが、「東京」という街で生きる人々の肖像画になり得ることを、心から強く願っている。"
(奥山由之 前書きより)
奥山由之
1991年東京生まれ。
第34回写真新世紀優秀賞受賞。第47回講談社出版文化賞写真賞受賞。
主な写真集に、『flowers』(赤々舎)、『As the Call, So the Echo』(赤々舎)、『BEST BEFORE』(青幻舎)、『POCARI SWEAT』(青幻舎)、『BACON ICE CREAM』(PARCO出版)、『Girl』(PLANCTON)、『君の住む街』(SPACE SHOWER BOOKS)、『Los Angeles / San Francisco』(Union publishing)、『The Good Side』(Editions Bessard)、『Ton! Tan! Pan! Don!』(bookshop M)、台湾版『BACON ICE CREAM』(原點出版)、などがある。主な展覧会は、「As the Call, So the Echo」Gallery916、「BACON ICE CREAM」パルコミュージアム、「君の住む街」 表参道ヒルズ スペースオー、「白い光」キヤノンギャラリーS、「flowers」PARCO MUSEUM TOKYO、「THE NEW STORY」POST など。
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