ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家: サハリン少数民族ウイルタと「出会う」

ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家: サハリン少数民族ウイルタと「出会う」

販売価格: 2,860(税込)

商品詳細

21cm×14.8cm 200P


2024年、高島屋史料館TOKYOで開催された展覧会「ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家 ―サハリン少数民族ウイルタと『出会う』」の公式図録。

かつて、北海道のオホーツク海に面した網走の地に「ジャッカ・ドフニ」*と呼ばれたサハリン少数民族の資料館がありました。「ジャッカ・ドフニ」とは、ウイルタ語で「大切なものを収める家」を意味し、ウイルタを中心に、ニブフ、樺太アイヌといった、サハリンに暮らした少数民族の生活文化を伝えた稀有な私設資料館です。この「ジャッカ・ドフニ」は2012年、多くの人に惜しまれながら約35年にわたる活動に終止符を打ちます。その後、そこで所蔵されていた資料の全てが、北海道立北方民族博物館に引き継がれました。


1905年、それまでロシア領だったサハリン島は、日露戦争後のポーツマス条約締結により、北緯50度以南が日本領と定められます。このことは、サハリン島に暮らした少数民族に大きな影響を与え、それまでの生活慣習を一変させました。また、サハリン少数民族はアジア・太平洋戦争にも巻き込まれ、なかには終戦後にシベリアへ抑留される人もいました。さらには、さまざまな事情から、住み慣れた地を離れて日本への移住を決断せざるを得ない人もいたのです。「ジャッカ・ドフニ」設立に尽力したウイルタのゲンダーヌ(日本名:北川源太郎)さんはその一人です。

このようにウイルタをはじめとするサハリン少数民族は、自らの意思とは無関係に、近代が設定した国境や国籍といった枠組みの中に取り込まれてきました。しかし、そうしたサハリン少数民族の歴史や文化が、今日、十分に知られているとは言い難いでしょう。

本書では、展示されていた様々な生活道具や衣装、衣類、儀礼具などの紹介に留まらず、文化背景や彼らが背負わされてきた歴史も手厚く解説しています。

私たちが生きる世界が多元的で、複雑な交差性のもとにあるということを再認識する一冊です。