向日葵 / 安森信

向日葵 / 安森信

販売価格: 4,950(税込)

商品詳細

19cm×21cm 96P


キヤノン写真新世紀優秀賞(荒木経惟 選)受賞他、様々なコンテストで多数の受賞歴も誇る写真家、安森信による写真集。

暴力が引き起こした出来事と平和への想いを、写真を通して記憶に刻む。

2006年、長崎平和宜言の冒頭で、「人間は、いったい何をしているのか」と全世界に発信した当時の長崎市長 伊藤一長。その翌年、氏は選挙期間中に凶弾に倒れた。
本書は、伊藤一長の縁戚に当たる写真家・安森信が、ひとりの政治家を支えていた人々に取材し、暴力が引き起こした出来事と平和への想いを、写真を通して記憶に刻むものである。

いかに受け継ぎ、語り継ぐことができるのか。写真家はその問いに向き合いながら、痕跡、人々の記憶、長崎の街の日常を丁寧に写しとる。
撮影に「よかとよ」と応じる街の人々の姿、その間には、アルバムの写真や当時の新聞の複写も挟まれる。単なる記録ではなく、事件の意味を問い続け、人と街、過去と現在をつなぐまなざしがそこにはある。

暴力が引き起こした出来事の傷痕を記録しながら、平和を想い、これからを見据える本書。
風化と記憶の狭間で、人々がどのように過去と向き合い、未来を紡ごうとしているのか。写真がその静かな営みを浮かび上がらせる。

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"それまで報道は日々流れてくる文字と画像としか捉えてなかったが、身近なところで起こった事件により、心を抉る恐ろしい武器のように感じた。しぼらくは、ただ報道を目にするだけで、虚無感に苛まれ何も出来ない日々が続く。
私に出来ることは写真を撮ることしかない。しかし、写真は武器にもなり得ることを体感した私は、ご遺族の気持ちを考えると、この大き過ぎる出来事を撮ってはいけないと思った。

そんな私の考えは、ある出来事をきっかけに変わる。事件以来、毎年4月17日に現場に設置されていた献花台が、2019年のおじさんの十三回忌を区切りになくなることが決まった。その時から私は「風化が始まってしまう」という危機感を抱くようになり、撮ることを憚れる気持ちとの葛藤の末、最終的に「写真で残すべきだ」との想いが強くなった。"
(本書あとがきより抜粋)