あやとり / 千種創一

あやとり / 千種創一

販売価格: 2,750(税込)

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商品詳細

18cm×11cm 198P
※サイン本あり

人と人を結ぶ糸は永遠だ、って錯覚してしまうのはなぜだろう。人々の消えゆく言葉と記憶を書き留める、『砂丘律』『千夜曳獏』に続く、注目の歌人・詩人、千種創一によるコンセプチュアルな最新歌集。


戦争体験者への取材に基づく連作「つぐ」や、尾張藩主の御巡覧と伴走した「知多廻行録」(アートサイト名古屋城2024出展インスタレーション作品)を含む265首を収録。


【歌集より】

あなたは僕の幽霊に、僕はあなたの幽霊に、雪の手紙を書いていたんだ

言葉ってすっごく永く香るから いま潮風に手帳ふくらむ

伝えねば、否、伝わるような苦痛であってたまるかの、花、渡さねば

生き死にの平野の果ては玻璃の街、月の光をときんときんに散らして

橄欖樹(オリーヴ)の太さは雨の豊かさを ほろんだ竜はかなしかったね

もう何も奪わないでくれ 震わせて真冬に洗うひまわり、造花の

君の名に海のあること 風力1、曇りの南の港に覚めて

港まで肩にもたれて ああ、僕ら海や言葉になりたかったんだな