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きょうの塩梅 - Easygoing Umeshigoto - / 中山晴奈

きょうの塩梅 - Easygoing Umeshigoto - / 中山晴奈

販売価格: 3,200(税込)

商品詳細

21cm×15cm 118P
700部限定


フードデザイナーの中山晴奈が、梅仕事とその後の梅料理について綴ったリトルプレス。

梅雨の数週間しか出回らない「梅」をめぐる小さな幸せの作り方。人はなぜ加工しないと食べられない梅をわざわざ仕込み、保存するのか。ヘタ取り不要!アク抜き不要!など、細かなことを気にせず、おおらかに梅仕事ができる秘訣を満載した一冊です。日常の梅料理のレシピも満載。


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梅はそのままでは食べられません。私たちが日頃手にする果物のなかでも、梅は変わった存在です。梅干しにしたり、梅酒にしたり、砂糖に漬けたりと、加工しないと食べられないからです。りんごや温州みかんの消費が近年落ち込んでいますが、その理由は皮をむくのが面倒だからといわれます。そう考えると今の時代、そもそも手を加えないと口にできない梅はカット野菜が流行る今の時代にはメジャーではない果物なのかもしれません。だけど梅を仕込む作業を「梅仕事」とよんで楽しみにしている人がたくさんいるのは何故なのでしょうか。

暮らしの中で手間をかけるということは、そもそも豊かさを意味することでもあります。今年は曇りが多くて梅干しが完成するまでに時間がかかったとか、今年はスパイスを入れてみようとか、毎年手をかえ品をかえしていると、梅仕事はまるで人生を測るライフログのようです。梅が面白いのはその加工品のほとんどが保存性に優れているということです。3年前の梅干し、5年ものの梅酒が家に眠っている人も多いでしょう。

子どもがいる家では、その瓶を見るたびにその年漬けた時の出来事をおもい出すきっかけになり、今はずいぶんあの頃より落ち着いたなぁなどと家族の会話にもつながります。その風景の、なんと豊かなことか。わたしたちは日々忙しく、20分で食事をつくり、ときには食事もせずに出かけていくこともたくさんあります。それでも、春から初夏にかけてほんの2~3週間だけ訪れる梅の季節を楽しむことで、お天気に泣き笑いし、初夏の訪れを祝い、文化を味わうという、人生の豊かさを享受できるのです。家を買う、旅行をする、投資をする、いろいろな豊かさがありますが、初夏の一瞬をつかって梅仕事をすることが、実はお金で買うことができない豊かさそのものであることを感じてみませんか。

(「はじめに」から)