星の嵌め殺し / 川野芽生
19cm×13cm 136P
優美さに内包する痛み、気高く眩い光を放つ言葉の乱反射。第一歌集『Lilith』から4年、いま最も注目される歌人・作家の第二歌集、ついに刊行!
びっしりとからだをおほふはなびらをかぞへたらうか木々もいちどは
合わせ鏡を空に散らしてほんたうは夜空にひとつしかない星よ
嵌め殺しの瞳を一生嵌めたまますれ違うひともけものも星も
気がくるふほどながい長回しの中を立ち尽くすことを生きると云へり
友人ときみを呼ばない電飾の街にまたたく千の虹彩
風花のやうにことばは散るものをいくつの春を越えて来て 歌
波間に水着のリボン遊ばせてひとは海月を親類にもつ
肉体を憎みつつ塗る百合の香のネイルオイルを祈祷のやうに
川野 芽生 (カワノ メグミ)
1991年生まれ。連作「Lilith」で第二九回歌壇賞受賞。第一歌集『Lilith』で第六五回現代歌人協会賞受賞。著作に『無垢なる花たちのためのユートピア』、『奇病庭園』、『Blue』など多数。
優美さに内包する痛み、気高く眩い光を放つ言葉の乱反射。第一歌集『Lilith』から4年、いま最も注目される歌人・作家の第二歌集、ついに刊行!
びっしりとからだをおほふはなびらをかぞへたらうか木々もいちどは
合わせ鏡を空に散らしてほんたうは夜空にひとつしかない星よ
嵌め殺しの瞳を一生嵌めたまますれ違うひともけものも星も
気がくるふほどながい長回しの中を立ち尽くすことを生きると云へり
友人ときみを呼ばない電飾の街にまたたく千の虹彩
風花のやうにことばは散るものをいくつの春を越えて来て 歌
波間に水着のリボン遊ばせてひとは海月を親類にもつ
肉体を憎みつつ塗る百合の香のネイルオイルを祈祷のやうに
川野 芽生 (カワノ メグミ)
1991年生まれ。連作「Lilith」で第二九回歌壇賞受賞。第一歌集『Lilith』で第六五回現代歌人協会賞受賞。著作に『無垢なる花たちのためのユートピア』、『奇病庭園』、『Blue』など多数。