UNTITLED SKETCHBOOK / Paul Thek

UNTITLED SKETCHBOOK / Paul Thek

販売価格: 9,350円(税込)

数量:
24cm×32cm 62P
限定1000部


アメリカ人アーティスト、ポール・テック(Paul Thek)の作品集。


作者はドイツとアイルランド人の血も受け継ぐ画家であるが、のちに彫刻やインスタレーション作品でも知られるようになる。1988年にこの世を去ったのち評価はより高まり、2010年には「ホイットニー美術館(Whitney Museum of American Art)」で回顧展が開催されている。

本書は、54歳で生涯を閉じたそのあまりに短い生涯で、スケッチし、走り描き、煮詰めたイメージやアイデアが描かれたノートのうち、1969年に使用していたものを再現した一冊である。これまで公開されたことのない31点のドローイングを収録したこの作品集は、自省の念を込めた行為として鏡に向かってスケッチしたと思われる、徹底的に探求した自画像で埋め尽くされている。(「自分ほど私という人間に興味を持った人は他にいない」とかつて自身で書いている。)近くのページには、茨の冠をかぶったキリスト像や、そのページに並んで空の灰皿のかたわらに横たわる十字架、コルク栓抜きのような尻尾を生やしたキノコなど、作者のヴィジョンを描いたのだろうか、奇妙な静物画も並ぶ。

1933年にニューヨークのブルックリンで生まれた作者は、1960年代に初めて注目を集めた。先駆的なインスタレーション、パフォーマンス、そして絵画は、身体と死すべき運命をテーマにしており、後から思うに、1988年に54歳でAIDS(後天性免疫不全症候群)で息を引き取った生涯を、絶えず考えまるで予見していたかのようである。

「私は時々、時間以外には何もないと思うことがある、」作者は語る。「あなたが目にするもの、あなたが感じるものは、その瞬間、時間がどのように見えているかということなのだ」—— このことこそ、作者の芸術性が現在もこれほど力強くあり続けている理由を説明しているかもしれない。