縄文 革命とナショナリズム / 中島岳志

縄文 革命とナショナリズム / 中島岳志

販売価格: 3,080円(税込)

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19cm×13cm 432P


政治学者、歴史学者の中島岳志が、戦後日本人の縄文言説について論じ、その「幻想」を追うことで、戦後日本人の新たな精神史を示そうとした1冊。

戦後日本は何につまずき、いかなる願望を「縄文」に投影したのか。
岡本太郎が縄文を発見し、思想家、芸術家たちのなかで縄文への関心が高まった。柳宗悦ら民芸運動の巨匠たちが縄文に本当の美を見いだし、島尾敏雄が天皇以前の原日本人の姿を託し、吉本隆明を南島論へと向かわせた。縄文は日本赤軍のイデオロギーにも取り込まれ、オカルトを経由しニューエイジ、スピリチュアリズムに至る。梅原猛が霊的世界を称揚する縄文論を展開し、「縄文ナショナリズム」を生み出すことになった。それは、一九九〇年代の右傾化現象のなかでさらに裾野を広げている。


序章  戦後日本が「縄文」に見ようとしたもの
第一章 岡本太郎と「日本の伝統」
     縄文発見
     対極主義と「日本の伝統」
第二章 民芸運動とイノセント・ワールド
     民芸運動と「原始工芸」
     濱田庄司の縄文土器づくり
     最後の柳宗悦
第三章 南島とヤポネシア
     島尾敏雄の「ヤポネシア」論
     吉本隆明『共同幻想論』と「異族の論理」
     ヤポネシアと縄文
第四章 オカルトとヒッピー
     空飛ぶ円盤と地球の危機
     原始に帰れ!——ヒッピーとコミューン
第五章 偽史のポリティクス——太田竜の軌跡
     偽史と革命
     「辺境」への退却
     スピリチュアリティ・陰謀論・ナショナリズム
第六章 新京都学派の深層文化論——上山春平と梅原猛
     上山春平の照葉樹林文化論
     梅原猛——縄文とアイヌ
終章  縄文スピリチュアルと右派ナショナリズム