超ジャズ / 杉田誠一

超ジャズ / 杉田誠一

販売価格: 3,850円(税込)

数量:
19cm×13cm 512P


1969年、保守化するジャズ評論に対する強烈なカウンターとして始まり、やがてミュージシャンを含む多くのジャズ・ピープルを巻き込みラディカルな運動体を形成しながら日本の前衛ジャズ・シーンに多大な影響を与えた伝説の雑誌『JAZZ』──その発起人にして、1976年まで編集長を務めたフォト・ジャーナリスト、杉田誠一の仕事をまとめた著作・写真集。

評論家であることを早々に放棄し、ジャズ・ジャーナリストが通常足を踏み入れることのないゲットーを彷徨い、深夜のクラブに出掛けて数多くのミュージシャンと出会い、ライヴを体験し、レコードに針を落とし、あらゆるテキストがルポルタージュの様相を帯びていく。わずか10年足らずのうちに目まぐるしく変遷するジャズの情況、じりじりと変質する著者自身の文体の中にあって、一貫して変わらなかった信念としての“超ジャズ”。

ニューオーリンズ、ニューヨーク、シカゴ、そしてヨーロッパへと続く“超ジャズ”幻視行は、写真とテキストによる貴重な歴史的証言であると同時に、カメラとペンを持ってジャズと対峙した一人の青年のドキュメントでもある。テキスト58本、写真172点、ディスクレビュー100本を収録。ジャズはいかにしてジャズを乗り超えられるか。


▼目次

●アーチー・シェップと砂漠で会った
●ジャズ・ジャーナリズムは不毛だ!
●『太陽中心世界』に関するテーゼ
●俺達の朝はアーチー・シェップの儀式で始まる──『マジック・オブ・ジュジュ』論
●これは俺のタイプじゃないが──渡辺貞夫帰国コンサート
●超ジャズ論手稿──あるいは高木元輝トリオと〝性遊戯〟に熱いキッスを
●再び「超ジャズ論」について
●『太陽中心世界』に関するテーゼ──あるいは錬金術師としてのサン・ラ
●ニューポート・イズ・ナウ!
●黒い叫びが噴出する──アメリカのジャズ状況
●ゲットー・ミュージックとしてのジャズ
●シカゴの長い暑い夏はゲットー・ミュージックの季節
●断絶を踏み越えたサラ・ヴォーンの肉声
●ミコ、ジャズを歌え!──〝人形の家〟の弘田三枝子
●バワリーからニュー・ロックへ
●地下演劇もまた、歌ではないのか
●日本への黒いメッセージ──来日した米ジャズ楽団
●富樫雅彦へのインタビュー
●肉体的山下洋輔論
●高木元輝への讃歌
●その音に誰も立ち止まらない
●五ドルで「聖者がやってくる」街
●廃墟・ニューヨークの二五時
●地下室の血と汗と涙
●なにわ節の世界
●リズムだけの所在──打楽器奏者ツトム・ヤマシタ
●佐藤允彦に贈る言葉
●ジャズというゲームを生きて──秋吉敏子帰国リサイタル
●明日また笑おうぞ──芸能生活二五周年を迎えた美空ひばり
●ワルシャワの肉声におくる恋慕
●マイルスはペットを捨てるか
●アルバート・アイラー・ノー・リターン
●とりあえず『ライヴ・イヴル』を聴いて
●私は音どもに聴かれていた
●噴きあげるフリー・ジャズ
●擬制トータル・ジャズ・イクスピリエンス
●あてどのない血のざわめきを
●コルトレーンのマジカルな海賊盤
●カーネギー・ホールのセシル・テイラー
●ニューポート・ジャズ・フェス・ニューヨーク 一九七三年 夏
●ヴィレッジ・ヴァンガードのソニー・ロリンズ
●ロフトでは、いま何が……
●ドン・チェリーの『相対性組曲』──予期せぬ時空の裂け目
●吟遊詩人の帰還──あるいは『ラスト・デイト』論
●たった五万人相手のジャズ・ビジネス
●魂からあふれ出る音はいつも同じだ
●モントルー・ジャズ・フェスティバル・レポート
●ミュージック・パワーからグレイト・ブラック・ミュージックへの幻視行
●拝啓チャールズ・ミンガス殿
●ジャズの一番長い夜──アルバート・アイラー『ベルズ』
●聖なるかな、傷だらけのブラック・サブカルチャー──セシル・テイラー『ジャズ・アドヴァンス』
●アルト情況ノート
●舗石をはぐとその下は砂浜だった──フリージャズの発見
●エルヴィンは神の言葉を叩きあげた!
●このブルース衝動につかれたしたたかなる群像
●センター・オブ・ザ・ワールド
●ヨーロッパの乾いた知性を鮮烈に統合した鬼才
●永遠に風化しない情況
●又、ジャズ幻視行
●ディスク・レビュー100選