オリーヴ・キタリッジ、ふたたび / エリザベス・ストラウト

オリーヴ・キタリッジ、ふたたび / エリザベス・ストラウト

販売価格: 2,970円(税込)

19cm×13cm 436P


ピュリッツァー賞を受賞した『オリーヴ・キタリッジの生活』、11年ぶりの続篇にあたる連作短篇集。


この作品の魅力を言葉で伝えるのはなかなか難しい。癖が強くて、頑固で、口が悪い元教師のオリーヴ・キタリッジと地味な隣人たちのぱっとしない人生、舞台はこじんまりとした海辺の町、クロスビー。こう言ってしまうと何が面白いの?となるけれど、だからこそ『オリーヴ・キタリッジの生活』は読む人のずっと深いところに残る作品だと思う。ぽたん、と落ちたインクの染みのように。

今作ではオリーヴは70代となり、相変わらず町の人々には「ひねくれ婆さん」とか呼ばれていたりする。折り合いが悪くなってしまった息子家族、新しいパートナー、昔の教え子との再会。前作同様、さまざまな人々の人生の一瞬に横切ったり、ずかずかと介入したりしながら、人も町も年を重ねていく。

私は私の人生の主人公、それと同時に、他の誰かの人生の“通行人A”でもある。家族でも友人でもない、すれ違いざまにちょっと袖が触れ合うような、そうした瞬間が奇跡のように強く光を放つことがあるのだと思う。