穏やかなゴースト 画家・中園孔二を追って / 村岡俊也

穏やかなゴースト 画家・中園孔二を追って / 村岡俊也

販売価格: 3,630円(税込)

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20cm×15cm 224P

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ノンフィクション・ライターの村岡俊也が、わずか8年の作家人生で約600点の作品を残し、25歳の若さで生涯の幕を閉じた画家の中園孔二の足跡を追って綴った一冊。


「今年は天才がいるよ」。東京藝大の卒業作品展で中園の油彩画を観た彫刻科の教授は、そう感想をもらした。この直感は的中し、その後、中園の作品は東京都現代美術館や神奈川県立近代美術館に所蔵され、六度の個展開催、グループ展への出品など、評価と人気の高まりはとどまるところを知らない。

著者の村岡俊也はこの藝大教授と偶々アルバイト先で出会ったことから、中園の存在を知る。また、奇しくも鎌倉の美大予備校で中園に絵を教えた講師とは旧知の仲だった。めぐりあうべくして中園にめぐりあった村岡はご両親の紹介などを受け、中園を知る人たちから丹念に話を聞いていく。そこで浮かびあがってきたのは、絵画作品と同じくらいに不可思議で、魅力あふれる人物像だった。甘いマスクとは裏腹に危険な場所に赴くことを好み、都心やヨーロッパで野宿してまわる。向こう見ずで、天使のような慈愛に満ち、親交のあった人たちや彼女たちの回想するエピソードは青春映画のワンシーンのよう。

150冊ものノートには自身や周囲、絵画への悩みや葛藤も綴られ、若くして手にした成功とは別に暗い影に囚われていた。夭折したアーティストの伝記や評伝は数あれど、圧巻の大傑作です。