14.5cm×10cm 24P
万年筆で壁に文章を刻み、ロイヤルブルーインクによる淡い風景を浮かび上がらせてきた美術作家・伊藤正人による短編小説。
美術の活動と並行して書かれてきた小説作品は、ひとと風景が寄り添いあい、あるいはひとに宿る記憶を青々しく引き揚げようとする風景であるという。
とある商店街の一角にある家屋はおもてが雀荘、裏が住まいとなった、いわゆる鰻の寝床。
出戻りのチタは複雑な思いを引きずりながらその家に帰り、『音』に苛まれる。
個展「小説の部屋」(於:AIN SOPH DISPATCH)のための書き下ろし短編。