THE LAST SURVIVOR IS THE FIRST SUSPECT / Nick Haymes
24cm×17cm 480P
ロサンゼルスを拠点とするイギリス人フォトグラファーであり、「Little Big Man Gallery」を主宰するニック・ヘイムズ(Nick Haymes)の作品集。
2021年12月から2022年1月にロサンゼルスのギャラリー「These Days」で開催された展覧会に伴い刊行された。
本作は、祝典であり、悲歌である。2005年から2009年にかけて、南カリフォルニアとオクラホマ州タルサの2つの拠点を中心に漂う若い友人たちを記録したプロジェクトである。ここでは、発展する友情や絆を記録する喜びや、迫り来る恐れを融合して物語っており、それはやがて一連の悲劇に終わる。
本作に収録されている親密な写真の中には、作者が捉えた瞬間の手がかりとなる一連のデジタルスクリーンショットを織り込んでおり、鑑賞者に二次的な物語を与える。撮影が行われたのはソーシャルメディアの普及が始まって間もない頃であったが、作者はそれぞれの友人たちのグループ間にコミュニケーションの新しい節点があると痛感したのである。MySpaceやYouTube、オンライン掲示板などのプラットフォームは、人との繋がりを可能とし、連帯感を築くと同時に、新しく応えられない基準や期待を設けるようになった。熱心にかき集められた登場人物たちのさまざまなコミュニケーションから漂う不吉な予感は、ページをめくるたびに高まっていく。あちこちに有効なジオタグやホームページアドレスのリファレンスを点在させることによって、本書内の主観的な真実を掘り下げることができるようになっている。
作者自身が書き下ろした紹介文では、10代に発症した極度の人見知りを、カメラによって補うことができたと語っている。
「僕はカメラを手に取って、身を隠し、再び人と関わることなく、人のそばにいて、親密になれるということを発見した」
本書の制作に際し、作者はこの写真群に立ち戻り、写した人々に何が起こったのかを明らかにしようと繋ぎ合わせている。それは、作者自身のためでもあった。作者は、この特定の歴史的瞬間と現代との関わりを模索し、その二つの物事が等しく異なると同時に同じであることを示唆している。イギリス人作家L・P・ハートリー(L.P. Hartley)の青春小説『恋を覗く少年(英題:The Go-Between)』の書き出しで、「過去は一つの異国である。その国の人々は、全く違った生きかたをしている。」という名文を残している。本作は、この思いをめざましい明快さで表現している。
ロサンゼルスを拠点とするイギリス人フォトグラファーであり、「Little Big Man Gallery」を主宰するニック・ヘイムズ(Nick Haymes)の作品集。
2021年12月から2022年1月にロサンゼルスのギャラリー「These Days」で開催された展覧会に伴い刊行された。
本作は、祝典であり、悲歌である。2005年から2009年にかけて、南カリフォルニアとオクラホマ州タルサの2つの拠点を中心に漂う若い友人たちを記録したプロジェクトである。ここでは、発展する友情や絆を記録する喜びや、迫り来る恐れを融合して物語っており、それはやがて一連の悲劇に終わる。
本作に収録されている親密な写真の中には、作者が捉えた瞬間の手がかりとなる一連のデジタルスクリーンショットを織り込んでおり、鑑賞者に二次的な物語を与える。撮影が行われたのはソーシャルメディアの普及が始まって間もない頃であったが、作者はそれぞれの友人たちのグループ間にコミュニケーションの新しい節点があると痛感したのである。MySpaceやYouTube、オンライン掲示板などのプラットフォームは、人との繋がりを可能とし、連帯感を築くと同時に、新しく応えられない基準や期待を設けるようになった。熱心にかき集められた登場人物たちのさまざまなコミュニケーションから漂う不吉な予感は、ページをめくるたびに高まっていく。あちこちに有効なジオタグやホームページアドレスのリファレンスを点在させることによって、本書内の主観的な真実を掘り下げることができるようになっている。
作者自身が書き下ろした紹介文では、10代に発症した極度の人見知りを、カメラによって補うことができたと語っている。
「僕はカメラを手に取って、身を隠し、再び人と関わることなく、人のそばにいて、親密になれるということを発見した」
本書の制作に際し、作者はこの写真群に立ち戻り、写した人々に何が起こったのかを明らかにしようと繋ぎ合わせている。それは、作者自身のためでもあった。作者は、この特定の歴史的瞬間と現代との関わりを模索し、その二つの物事が等しく異なると同時に同じであることを示唆している。イギリス人作家L・P・ハートリー(L.P. Hartley)の青春小説『恋を覗く少年(英題:The Go-Between)』の書き出しで、「過去は一つの異国である。その国の人々は、全く違った生きかたをしている。」という名文を残している。本作は、この思いをめざましい明快さで表現している。