TIME IN AIR, TIME IN PAPER / 森田幸子
28cm×22cm 72P
初版1000部発行
フランス・アンジェを拠点とするアーティスト、森田幸子による作品集。
作者は、日々の生活の中で見つける自身の喜びや好奇心に非常に質実である。それを証明するかのように、彼女の眼差しは庭の土からフィルムカメラへ、そして水彩画紙へと移りゆく。
彼女の制作プロセスはユニークだ。イタリア製水彩画紙に刷毛で感光剤を塗布し、自らの印画紙を作ることから始まる。35mm フィルムカメラを使い自然光の中で撮影された写真を、アンティークの引き伸ばし機を使用して、印画紙に焼き付ける。その後、水と絵筆で影を描くように感光剤を細心に取り除く。
それゆえ、彼女の作品の特徴であるドローイングのような直感的な被写体の輪郭には、瞬間的な時を捉える写真的側面と、線や影を定義しながら時間を経て完成させる絵画的側面とのふたつの表情が垣間見える。
本作『Time in Air, Time in Paper』では、そのふたつの側面を意識し、20 年以上に亘る51 作品を再編、水彩画紙に存在する彼女の素朴な時の流れを捉えることを試みた。「現実と過ぎ去る時間」を彼女の作品からは強く感じるが、その独特ともいえる時の流れに記憶を巡らすことで、視覚に加え、感覚によって鑑賞することの喜びを私たちに与えるだろう。
初版1000部発行
フランス・アンジェを拠点とするアーティスト、森田幸子による作品集。
作者は、日々の生活の中で見つける自身の喜びや好奇心に非常に質実である。それを証明するかのように、彼女の眼差しは庭の土からフィルムカメラへ、そして水彩画紙へと移りゆく。
彼女の制作プロセスはユニークだ。イタリア製水彩画紙に刷毛で感光剤を塗布し、自らの印画紙を作ることから始まる。35mm フィルムカメラを使い自然光の中で撮影された写真を、アンティークの引き伸ばし機を使用して、印画紙に焼き付ける。その後、水と絵筆で影を描くように感光剤を細心に取り除く。
それゆえ、彼女の作品の特徴であるドローイングのような直感的な被写体の輪郭には、瞬間的な時を捉える写真的側面と、線や影を定義しながら時間を経て完成させる絵画的側面とのふたつの表情が垣間見える。
本作『Time in Air, Time in Paper』では、そのふたつの側面を意識し、20 年以上に亘る51 作品を再編、水彩画紙に存在する彼女の素朴な時の流れを捉えることを試みた。「現実と過ぎ去る時間」を彼女の作品からは強く感じるが、その独特ともいえる時の流れに記憶を巡らすことで、視覚に加え、感覚によって鑑賞することの喜びを私たちに与えるだろう。