Hanako / 大竹利絵子

Hanako / 大竹利絵子

販売価格: 5,500円(税込)

数量:
27cm×22cm 150P


少女や鳥などを主なモチーフとした無彩色の木彫り作品を制作する彫刻家、大竹利絵子による作品集。


大竹は樟や檜、桂などを用い、彩色しない素木仕上げの木彫作品を制作してきました。少女や鳥、動物などを作品のモチーフとし、すっと立つ凜とした姿勢や、無表情ながらも深遠な強い眼差しは、まるで霊性をもつかのような神秘的な存在感を立ち表します。大竹作品の魅力は、その荒削りな木のなかに佇んでいる存在の繊細さにあります。いつかの、どこかの記憶のような夢のような人や鳥やシーンが、見る人のどこかにつながってその魅力が広がります。


本作品集では、最初期となる2006年から2022年の最新作まで、大竹の制作の変遷を辿ります。また初めて取り組んだ版画作品、これまで公開されてこなかったドローイング、そして制作過程が垣間見えるアトリエの風景をも散りばめながら、その創作の周縁を掘り下げます。木の硬質さとしなやかさに宿る幾多の生命は、生と死の間に浮かぶ曖昧な時間に漂いながらも、ずっとそこに佇んでいたかのような確かさを持ち合わせています。ディテールまでこだわった須山悠里による装丁、そして堀江敏幸、水沢勉によるテキストによって、その作品世界をさらに押し広げています。
 

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奥行きしかない世界で、形があるのにないかのようにふるまうことができれば、私たちもひとつのGhostになる。これほど重量のある硬い木の肌理と空間のなかで自身を浮き上がらせる明確なライン取りが認められるにもかかわらず、全体は亡霊のようになって、自分がいなくても輝いていられる世界のありかたを教えてくれる。
堀江敏幸「魂が鳥になるとき―大竹利絵子作品集に寄せて」(寄稿文より)

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大竹利絵子の居場所は、作品についても作者についても、内と外とののあわいの、濁点が揺れながら移行する、波打ち際のような、まさにその狭間というべき中間点なのではなかろうか。

水沢 勉「さざめく ざわめく。 ―大竹利絵子の居場所」(寄稿文より)