見慣れた街で旅を続ける / 森田胡桃子
15cm×10cm 140P
縁あって名古屋に暮らすことになった著者が、見慣れた街でふと心に引っかかった日常の断片をかき集めた散文と、日記、青森・仙台での旅日記を収めた一冊。
「会社からの帰り道によく、この場所に初めてきた時のことを思い出そうとする。片側二車線の大通り、歩道と車道の間に、植物が乱雑に伸びた生垣がある。大学と電気屋と薬屋の、大きくて平坦な建物がでこぼこと並び、変な並びだとか、面白みのない場所だと思ったっけ。思ったのかな。思ったのだろうか。思い出そうとしても、どの感情にも自信がない。その度にもう二度と、知らなかった時の自分には戻れないのだと考える。」
(「見慣れた街」より)
縁あって名古屋に暮らすことになった著者が、見慣れた街でふと心に引っかかった日常の断片をかき集めた散文と、日記、青森・仙台での旅日記を収めた一冊。
「会社からの帰り道によく、この場所に初めてきた時のことを思い出そうとする。片側二車線の大通り、歩道と車道の間に、植物が乱雑に伸びた生垣がある。大学と電気屋と薬屋の、大きくて平坦な建物がでこぼこと並び、変な並びだとか、面白みのない場所だと思ったっけ。思ったのかな。思ったのだろうか。思い出そうとしても、どの感情にも自信がない。その度にもう二度と、知らなかった時の自分には戻れないのだと考える。」
(「見慣れた街」より)