ママ / 田附勝

ママ / 田附勝

販売価格: 4,800円(税込)

数量:
18.3cm×12.5cm 64P
スリーブケース入り


木村伊兵衛賞受賞の写真家、田附勝による初の私小説的作品集。

「なぜパッチワークを50年以上も続けてこられたのか、聞けないまま母は亡くなってしまった」

作者が育った家には、母親がつくったパッチワークがあふれていた。当時は古布を再利用する日常的な文化もあり、パッチワークは家の中で楽しめる母親たちの趣味として広く親しまれていた。時間に余裕が生まれた時代でもあり、海外文化の影響もあり、ある種の「幸せ」や「平穏」を象徴するようなものだったのかもしれない。しかしながら、作者の暮らしの中には「あいつ」による家庭内暴力があり、離婚から再婚と、一般的な「幸せな家庭」とは異なる日常があった。

母が病に襲われた知らせを受け、看病や介護、そして最期の別れに至る1年の間、作者がしばしば訪れた母親の暮らす家は、昔と変わらず、母が作ったパッチワークで彩られていた。どんな想いでパッチワークを続けてきたのだろうか。何を繋ぎ、縫い留めようとしたのか。声にならないものは、どこかにたどり着いたのだろうか。作者の全身に、複雑に絡み合った思いが疾走した。

『DECOTORA』や『東北』、『KAKERA』などの著作で独自の視点で撮り続けてきた作者が、本書のテーマとして初めて自らの家族と向き合うことになった。母の人生そのものとも言えるパッチワークを撮り下ろした、私小説的な作品集である。それでも、すべての人が「ママ」の存在に改めて気づくことになるだろう。



田附勝 Tatsuki Masaru
1974年、富山県生まれ。電飾を施したトラックとそのドライバーたちを 9 年に渡り撮影した写真集『DECOTORA』を 2007 年に発表。東北の地を足繁く訪ね、自然への畏敬とともにある営みを撮り続けた作品集『東北』(2011 年)で、第 37 回木村伊兵衛写真賞を受賞 。震災後の鹿猟師を捉えた『その血はまだ赤いのか?』そして『「おわり。」』、さらには暗闇に佇む鹿を写した『KURAGARI』を刊行。2016年には八戸で漁師を追った『魚人』、近年は発掘当時の新聞紙に包まれ博物館などに収められた縄文土器片を撮影し、折り重なる時間と空間を写し出した『KAKERA』を 2020 年に発表。