歩きながらはじまること / 西尾勝彦

歩きながらはじまること / 西尾勝彦

販売価格: 2,160円(税込)

15.5cm×12cm 340P


奈良の街、森の近くで猫と鹿とひっそりと暮らしながら、展示形式の詩の発表、私家版の詩集制作などの活動を積極的に行っている作家、西尾勝彦の詩集。これまでに発表してきた、『朝のはじまり』、『フタを開ける』、『言の森』、『耳の人』に加え、私家版『耳の人のつづき』を収録しています。


いつからか
素朴に
暮らしていきたいと
思うようになりました

飾らず
あるがままを
大切にしたいと
思うようになりました

そうすると

雲を眺めるようになりました

猫がなつくようになりました

静けさを好むようになりました

鳥の声は森に響くことを知りました

けもの道が分かるようになりました

野草の名前を覚えるようになりました

朝の光は祝福であることを知りました

人から道を尋ねられるようになりました

月の満ち欠けを気にするようになりました

遅さの価値を知る人たちに出会いました

一日いちにちが違うことを知りました

ゆっくり生きていくようになりました

鹿の言葉が分かるようになりました

雨音が優しいことを知りました

損得では動かなくなりました

わたしはわたしになりました(『言の森』より「そぼく」)