雪の刻 / 中井菜央
25.5cm×21cm 176P
人々の営みを丁寧なまなざしによって掬い取る写真家、中井菜央による写真集。
本作は、世界有数の豪雪地帯にある、新潟県津南町に長期滞在し撮影したシリーズ。
写真家は、この地域に降り積もる多湿で重たい雪の「個性」に惹かれ、雪がつくりだす風景・光景、雪国に生きる人々を撮り続けてきました。
「雪がない時に雪の存在を感じる」
その気づきから見出された、天地の感覚を失うような雪の落下や、どこからともなく浸み出す水の気配。ねじれて進む季節。
緑のうねりとかつての雪は通じ、さまざまな穴に覗く時間の淵や、類を超えて響きあう生命が写し出されていきます。
この地の8000年前からの歴史を抱く地層や土器、森の色の違い、集落の人々の瞳の色。中井が捉えた、過去も現在も雪によって律せられているその大きさは、私たちの存在を問いかけ、見えない渦へといざないます。
重力や連続性から解き放たれ、凍結したような写真とそれらの構成の中に、雪の重層的な時間の厚みは生まれます。写真が記録したものがドキュメンタリーを超えて提示する、「雪」と「時間」をめぐる集大成です。
人々の営みを丁寧なまなざしによって掬い取る写真家、中井菜央による写真集。
本作は、世界有数の豪雪地帯にある、新潟県津南町に長期滞在し撮影したシリーズ。
写真家は、この地域に降り積もる多湿で重たい雪の「個性」に惹かれ、雪がつくりだす風景・光景、雪国に生きる人々を撮り続けてきました。
「雪がない時に雪の存在を感じる」
その気づきから見出された、天地の感覚を失うような雪の落下や、どこからともなく浸み出す水の気配。ねじれて進む季節。
緑のうねりとかつての雪は通じ、さまざまな穴に覗く時間の淵や、類を超えて響きあう生命が写し出されていきます。
この地の8000年前からの歴史を抱く地層や土器、森の色の違い、集落の人々の瞳の色。中井が捉えた、過去も現在も雪によって律せられているその大きさは、私たちの存在を問いかけ、見えない渦へといざないます。
重力や連続性から解き放たれ、凍結したような写真とそれらの構成の中に、雪の重層的な時間の厚みは生まれます。写真が記録したものがドキュメンタリーを超えて提示する、「雪」と「時間」をめぐる集大成です。