引き出しに夕方をしまっておいた / ハン・ガン (著)、きむ ふな、斎藤真理子 (訳)

引き出しに夕方をしまっておいた / ハン・ガン (著)、きむ ふな、斎藤真理子 (訳)

販売価格: 2,420円(税込)

19cm×13cm 189P


『菜食主義者』でマン・ブッカー国際賞に輝いた、韓国人作家のハン・ガンが、20年余りにわたり書き続けてきた60篇の詩を収めた詩集。


著者の小説を手掛けてきた翻訳家きむふなと斎藤真理子による翻訳家対談も巻末に収録。韓国における詩の受容や詩人としてのハン・ガンなど、広く深みのある話が繰り広げられています。

―――


「ある夕方遅く 私は」

ある
夕方遅く 私は
白い茶碗に盛ったごはんから
湯気が上がるのを 見ていた
そのとき 気づいた
何かが永遠に過ぎ去ってしまったと
今も永遠に
過ぎ去っているところだと

ごはんを食べなくちゃ

私はごはんを食べた


―――



ハン・ガンの小説は美しく、同時に力がある。繊細さだけではなく強さがある。
その元にあるものがこの詩にあらわれている。
――斎藤真理子

ハン・ガンにとって詩は内密な自分自身の声に正直なもの。
詩を書くことで、心身のバランスや問いを直視し続ける力を回復していく。
――きむ ふな


著者:ハン・ガン(韓江)
1970年、韓国・光州生まれ。延世大学国文学科卒業。
1993年、季刊『文学と社会』に詩を発表し、翌年ソウル新聞の新春文芸に短編小説「赤い碇」が当選し作家としてデビューする。2005年、中編「蒙古斑」で韓国最高峰の文学賞である李箱文学賞を受賞、同作を含む3つの中編小説をまとめた『菜食主義者』で2016年にアジア人初のマン・ブッカー国際賞を受賞する。邦訳に『菜食主義者』(きむ ふな訳)、『少年が来る』(井手俊作訳)、『そっと 静かに』(古川綾子訳、以上クオン)、『ギリシャ語の時間』(斎藤真理子訳、晶文社)、『すべての、白いものたちの』(斎藤真理子訳、河出書房新社)、『回復する人間』(斎藤真理子訳、白水社)などがある。