この巻尺ぜんぶ伸ばしてみようよと深夜の路上に連れてかれてく / 秋月祐一

この巻尺ぜんぶ伸ばしてみようよと深夜の路上に連れてかれてく / 秋月祐一

販売価格: 1,980円(税込)

19cm×13cm 130P


歌人、秋月祐一による第二歌集。

架空の情景をイメージし短歌を詠むことで、それを「経験」してきたと語る著者。ユニークな視点で詠まれた素朴な心情は、読者が自由に物語を想像できる余地を残している。


一首一首から、そして一冊からは、確かにある作者像が顕れる。しかしその作者(「主体」と言い換えてもいいかもしれない)は、どことなく摑みようがない印象を受ける。読み込めば読み込むほどに、主体はするりと読者の手をすり抜けていってしまう。そして、そこが限りなく面白い。ライトヴァース、ニューウェーヴをくぐった先の、ひとつの「私」の有り様が、何食わぬ顔で一冊に収まっている。 (本書 帯より)



白黒写真(モノクロ)で色えんぴつを撮つてみる赤はなぜだか赤だとわかる

透明な生き物図鑑をながめつつ何度「負けた」とおもったことか

ちぷたぷと緩衝材を潰してるちぷたぷ、きみはおでこ広いな

想像とは逆方向にうごきだす電車、乗るたびいつもいつも

こころはれる/こころこはれる 雲間からひかりこぼれる空を見てゐる

このまちの暗渠たどって地図帳を赤く塗つてるやうな人です

はるかなるあの日の弁当泥棒と文通をしてみたいはつなつ