火曜日 / 富澤大輔
31cm×25cm 48P
台湾生まれの写真家・富澤大輔による写真集。
本書は、「ただ風に吹かれて鳴る風鈴のようにただ眼の前の景色を見る」という、作家の意図や作為を超えたところで作品に向き合おうとする富澤の姿勢を存分に味わうことができ、また、これまでの富澤の写真集の様々な種類の輝きが凝縮・表現されており、改めて、富澤の根源的でたしかな写真の力に驚かされる写真集となっている。
…
2025年2月21日、火曜日。
富澤は故郷の台湾にて、新作の撮影にとりかかろうとしていた。
午前9 時、南壽山の台湾海峡に面した岬の上で撮影を開始。
しかしその40 分後、フィルムの巻き上げと同時にカメラから異音が鳴る。
そして二度とシャッターが落ちることはなかった。
撮影できたのはたったの8 本だけだった。
「いつだって最上の状況で道具は振り回せるようにしなくてはならないのだと、思い知らされる。
だが、同時に僕はまだカメラがないと写真が撮れないのかと、なんだか悔しくなった。
僕はなぜカメラという装置が壊れたことを気にしているのだろうか、本来はカメラの存在も名前も忘れるようでなくてはダメなのではなかろうか。そもそもカメラで捉えられる世界というのは、管を用いて天を窺うようなものなのだから、カメラに頼っているようでは、写真が良くても達人の域は超えない。
と海風に吹かれながら首を垂れる。」 (あとがきより)
3 月、台湾での滞在を終え日本に帰り、
本書のデザインを担当する明津設計にいつものように写真を見せるのだが、
予定していた撮影がほとんどできなかったことに、富澤は文字通り首を垂らしており、
いつになく写真を見せることをためらっていた。
しかし写真を見た明津設計は即座に「この写真は、見たことのない1 冊が作れる」と判断。
その場で写真を持ち帰り、その日のうちに編集、デザインを開始する。
そうして富澤の写真集としては異例の超短期間で撮影された
本書『火曜日』はできあがった。
台湾生まれの写真家・富澤大輔による写真集。
本書は、「ただ風に吹かれて鳴る風鈴のようにただ眼の前の景色を見る」という、作家の意図や作為を超えたところで作品に向き合おうとする富澤の姿勢を存分に味わうことができ、また、これまでの富澤の写真集の様々な種類の輝きが凝縮・表現されており、改めて、富澤の根源的でたしかな写真の力に驚かされる写真集となっている。
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2025年2月21日、火曜日。
富澤は故郷の台湾にて、新作の撮影にとりかかろうとしていた。
午前9 時、南壽山の台湾海峡に面した岬の上で撮影を開始。
しかしその40 分後、フィルムの巻き上げと同時にカメラから異音が鳴る。
そして二度とシャッターが落ちることはなかった。
撮影できたのはたったの8 本だけだった。
「いつだって最上の状況で道具は振り回せるようにしなくてはならないのだと、思い知らされる。
だが、同時に僕はまだカメラがないと写真が撮れないのかと、なんだか悔しくなった。
僕はなぜカメラという装置が壊れたことを気にしているのだろうか、本来はカメラの存在も名前も忘れるようでなくてはダメなのではなかろうか。そもそもカメラで捉えられる世界というのは、管を用いて天を窺うようなものなのだから、カメラに頼っているようでは、写真が良くても達人の域は超えない。
と海風に吹かれながら首を垂れる。」 (あとがきより)
3 月、台湾での滞在を終え日本に帰り、
本書のデザインを担当する明津設計にいつものように写真を見せるのだが、
予定していた撮影がほとんどできなかったことに、富澤は文字通り首を垂らしており、
いつになく写真を見せることをためらっていた。
しかし写真を見た明津設計は即座に「この写真は、見たことのない1 冊が作れる」と判断。
その場で写真を持ち帰り、その日のうちに編集、デザインを開始する。
そうして富澤の写真集としては異例の超短期間で撮影された
本書『火曜日』はできあがった。