ひ か り の う つ わ / スクリプカリウ落合安奈

ひ か り の う つ わ / スクリプカリウ落合安奈

販売価格: 7,700円(税込)

数量:
25.5cm×19cm 240P


日本とルーマニアの2つの国にルーツを持つフォトグラファー、スクリプカリウ落合安奈の作品集。

本書は、ルーマニアを舞台に、約一年にわたる滞在のなかで撮影された写真で構成された一冊。作家の父の故郷を訪ね、日本とルーマニアという二つの背景のあいだで自身のルーツを見つめ直す旅を記録したもので、これまで深く触れることのなかった「もう一つの故郷」に向き合う時間が、静かに写し取られている。

本作に通底するのは、作者が「透明な臓器」と呼ぶ感覚。旅のなかで出会った人々──血縁を越えた「母たち、父たち」との関わりや、信仰、自然とともにある暮らしを通して、その感覚は次第に息づいていく。積み重ねられた時間や記憶が、写真の奥にやわらかく滲む。

冬の静けさ、春の兆し、夏の光、秋の実り。四季をめぐる風景と人々の営みが織りなすリズムは、遠い土地の記録でありながら、どこか私たちの内側にも響く。起源へと触れていく過程をたどりながら、読む者それぞれの内にある見えない輪郭にも光を当てる写真集となっている。

布装のやわらかな手触りや活版印刷の奥行き、さりげなく添えられた詩文など、細部にまで心を配った造本も魅力的。


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スクリプカリウ落合安奈
1992年埼玉県生まれ。
日本とルーマニアの 2 つの母国に根を下ろす方法の模索をきっかけに、「土地と人の結びつき」というテーマを持つ。国内外各地で土着の祭や民間信仰などの文化人類学的なフィールドワークを重ね、近年はその延長線として霊長類学の分野にも取り組みながら、インスタレーション、写真、映像、絵画などマルチメディアな作品を制作。「時間や距離、土地や民族を越えて物事が触れ合い、地続きになる瞬間」を紡ぐ。東京藝術大学油画専攻を首席、美術学部総代で卒業。同大学大学院グローバルアートプラクティス専攻修了。同大学大学院彫刻専攻博士課程修了。​東京都写真美術館(2025)、福岡市美術館(2025)、上野の森美術館(2025)、ポーラミュージアムアネックス(2025)、埼玉県立近代美術館(2023、2020-2021)、ルーマニア国立現代美術館(2020)、東京都美術館(2019)、世界遺産のフランスのシャンボール城(2018)やベトナムのホイアン(2019)など世界各地で作品を発表。主な受賞歴は、ARTnews Japan「30 ARTISTS U35 2022」、「TERRADA ART AWARD 2021」 鷲田めるろ賞、「Forbes Japan 30 UNDER 30 」2020、「Y.A.C. RESULTS 2020」SWITCHLAB / ルーマニアなど。令和4年度公益財団法人ポーラ美術振興財団在外研修員としてルーマニアで活動。