Vanishing Workflows (2nd Edition) / Xavier Antin グザヴィエ・アンティン

Vanishing Workflows (2nd Edition) / Xavier Antin グザヴィエ・アンティン

販売価格: 6,600円(税込)

数量:
29cm×20.8cm 56P
限定600部


エルメス・シンガポールで開催されたフランス人アーティスト、Xavier Antinの展覧会をもとに制作された作品集。

展覧会会場には映像によって歪められた花を印刷した巨大な布が吊り下げられている。複数の布が分割する空間に2つの立体が佇む。一方は花瓶に活けられた色鮮やかな花束で、もう一方はビットコインのマイニングマシーンである。マシーンは毎日同じ時間に起動し、自動的にビットコインをマイニングする。その間、花は現実の時間に抗えず朽ちていく。機械は獲得した資金をもとに、地元の花屋へ自動で発注を行い、枯れた花は新たに届く花と交換される。

静かに作動する2つのサイクルを、デザイナーのGideonは出版物の形で可視化した。初版を手掛けたのはシンガポールのパブリッシングレーベルであるTemporary Press。リソグラフ印刷を用い、3色の掛け合わせで、現実とは違う歪めれたイメージを表現した。下部には撮影された日付と時間、ビットコインのレートが記載されている。枯れゆく花の推移は再配置された色によってすぐに理解できるものではない。つまり本書は展覧会の説明や補足ではなく、あくまで「本」という物質的条件や経済性をもとに、メディア固有のオブジェクトとして、作品と同じく自律している。

本書は、〈Temporary Press〉から第2版の印刷依頼を受けたNEUTRAL COLORSが、同じくリソグラフ印刷を用い、初版とは異なる色の掛け合わせで印刷美を再表現した2nd edition。
トライアンドエラーを繰り返し、幾度かのテスト印刷を経て、納得のいく色の組み合わせを見出し、製本も全て手作業で行った。多くの時間と技術を費やし制作された本書は、『加速』という一方方向のテクノロジーの在り方に問いを投げかけた、Xavier Antinの作品意図にも共鳴している。